古民家購入は後悔する?築140年をDIYした私が正直に答えます【兵庫・住みながら修繕中】

はじめに:この記事を読んでほしい人

「古民家って、なんかいいよな」「田舎でスローライフ、チルな暮らしをしたいな」
ふと、そう思ったことはありませんか?

大きな梁、土間、縁側。夏の終わりのひぐらし。夜には都会では考えられないほどの星が瞬く。
時間がゆっくり流れる田舎の暮らし。
都会の喧騒から離れて、自分のペースで生きていく・・・そんなイメージに惹かれて、古民家や田舎移住を調べ始める人は毎年増えています。

(たぶん、コロナ以降そういう流れになっているんじゃないかって気がしています)

わたしもそのひとりでした。

兵庫県の山あいに、築140年の古民家を買いました。
神戸の自宅マンションからは、高速を利用しても車で2時間程かかります。
ちょうど兵庫県の真ん中から上の部分に位置する場所です。
母屋、離れ、蔵、畑—全部ついてきた大きな物件です。
いまは神戸と田舎の二拠点移住生活をしながら、住みながらDIYで修繕を続けています。

この記事では、実際に古民家に住んでいるわたしが、「買う前に知っておきたかったこと」を正直に全部書きます。

こんな方に読んでほしい記事です。

  • 古民家購入を検討しているが、不安がある
  • 田舎移住に憧れているが、何から始めればいいかわからない
  • 古民家のデメリットや失敗談を知りたい
  • 古民家はやめておいたほうがいいのか、正直なところを知りたい

結論からいうと・・・めちゃくちゃ大変です。
古民家を買う前には理想の田舎暮らし、スローライフ、集落の方たちとの温かな心の交流・・・でも実際は・・・本当に大変で想像以上の苦労がありました。

でも、後悔はしていません。
ただし「知った上で選ぶ」と「知らずに飛び込む」では、その後の人生がまったく変わります。

現実① シロアリ・腐食は「買ってから」気づく

内覧では絶対にわからない

今回購入した古民家、実際に購入を決めるまでに合計、3回程内覧しました。
不動産屋さんと一緒に家の中を歩いて、「状態がいい」「前のオーナーが大切に住んでいた」という説明を受けて、確かにそう見えました。

またオーナーさん(実際のオーナーはおばあちゃんで、その娘さん)に案内されて、古民家の内見もしたことがあります。ところどころに不具合はあるものの、修繕すれば問題なく住める雰囲気。

物件の購入を決める前までに合計で10軒ほどの古民家を内覧しました。
私が内見した中で一番や安いお家は、250万円の物件でした。
トイレは汲み取り式、屋根や床、壁が壊れていて、生活感そのままの残置物が残されたお家でした。
前オーナーさんは猫を買っていたため、家の中は凄まじい獣臭。多分空き家になってからは、別の小動物も、このお家に住み着いていたんだと思います。天井には獣の糞尿でついたシミが多数、確認できました。

・・・そういった凄まじい物件や、事故物件なども見てきた私にとって、この古民家はものすごく状態がいいように見えました。

流石に内見で、畳を引っ剥がして床下を見たり、天井裏を見たり、壁の水平なんかは見ていませんでした。オーナーさんによると離れの一部だけシロアリ被害があるが、その他の部分は特に問題ないとのこと。シロアリ被害がある建物は、物置小屋のような小さな離れだったので、最悪壊してもいいかな位に考えていたので、白蟻と聞いても全然気にしていませんでした。

購入後しばらくして、和室の畳をめくって床板を確認したときのことです。

「…これは、もしや」 白蟻。白蟻。白蟻。ありゃぁぁぁ。

母屋の床下が、全面シロアリ被害を受けていました。
売主さんからは何も聞いていなかったので、たまげました。
「母屋は大丈夫」と思っていたのに・・・です。

離れは知っていたけど、まさか母屋まで

先ほども書きましたが、離れについてはシロアリ被害があることを購入前から知っていました。
でも母屋は別だと思っていました。

母屋には、田の字型の和室、6畳が4部屋+キッチンがあります。
とりあえず、田の字型の和室、すべての畳をめくって床下を確認したところ、半分の部屋が床が抜けないのが不思議なくらい、ぼろぼろ、残りの2部屋も多かれ少なかれ被害がありました。

シロアリに食われた木材は、叩くと鈍い音がします。
カンカンではなく、ぼそっという感じ。
どこを叩いても鈍い音しかしません・・・。
根太も大引も白蟻に食われて、ほぼ原型をとどめいていない状態で、いずれは床を全面やり直す必要があります。

インスペクション(住宅診断)を使わなかった後悔

今になって思うのは、購入前にインスペクションを依頼しておけばよかったということです。

インスペクションとは、住宅の専門家(建築士など)が第三者の立場で建物を診断してくれるサービスで、床下・小屋裏・外壁などを詳しく調べてもらえます。

費用は5万〜10万円程度ですが、購入後に発覚する修繕費用に比べれば、はるかに安い「保険」です。

仮に、インスペクションを使ってオーナーも把握していない不具合やシロアリ被害が見つかった場合、価格交渉や購入判断の材料にもなります。

今回、購入に至った古民家は相場からするとかなり高めの設定だったので、もしインスペクションを使って母屋のシロアリ被害を把握できていたら、補修費用分くらいの価格ディスカウント交渉ができたのではないか?とも思っています。

しかも古民家の大半は「契約不適合責任の免責特約」がついています。

「契約不適合責任の免責特約」とは、不動産売買において「売主が物件の不具合に対して責任を負わない」とする取り決めのことを指します。

通常、不動産を売買する際には、引き渡された物件に契約内容と異なる不具合(雨漏り・シロアリ被害・設備の故障など)があった場合、売主は「契約不適合責任」を負う義務があります。

しかし、免責特約を設定することで、この責任を免除または制限することが可能になります。

特に中古住宅や古民家、空き家などの取引では、この免責特約が付けられているケースが非常に多いのが特徴です。

築年数の古い古民家を検討している方へ:床下と小屋裏は必ずプロに診てもらってください。内覧だけでは見えない部分に、最大のリスクが潜んでいます。

現実② 購入費用だけじゃない!修繕費用は予算の倍以上かかるケースも

500万円のつもりが、1,250万円になった

わたしが最初に設定した購入予算は500万円以内でした。田舎の古民家なら、それくらいで見つかるだろうと思っていたからです。

実際、兵庫県の丹波市の空き家バンクホームページでは、100万円以下の物件もありました。

一般的に空き家バンクに登録されるような古民家は、築年数が35年を超えると建物の資産価値がゼロと換算されることが多く、土地代のみ、あるいはそれ以下の100万円以下で売り出されることがあります。古民家の価格は、エリアによって差があるので、今回は私が空き家を探していた兵庫県を例にしました。

でも、500万円以下では実際には気に入る物件がなかなか見つからず、最終的に1,250万円の物件を購入しました。予算の2.5倍です。

気に入る。気に入らないは、個人の感覚や価値観に大きく左右されるものなので、論理的に言語化するのが難しいのですが・・・物件選びにあたっていくつか、私なりのこだわりはありました。

  • 物件だけではなく、その土地に魅力があること(開放的・明るい・ごちゃごちゃしていない・自然に囲まれている・移住者に寛容かどうか・のんびりできそうかどうか)
  • 事故物件ではないこと(内見した物件に首吊り・ノイローゼによる自死・・・みたいなのがあった)
  • 災害警戒区域外(砂防ダムの真下にあるお家も見にいった)
  • 隣の家と距離がある(DIYやBBQ、焚き火をしたかったので、ある程度、隣家とは距離が欲しい)
  • 神戸の自宅から車で2時間以内(それ以上だと二拠点移住がしんどいため)
  • 物件に入った時に、気持ち悪くない、変な雰囲気を感じない
  • 上下水は完備(汲み取り・浄化槽はできれば避けたかった)

今考えて、書き連ねると自分の中には結構条件があったんだなって(笑)

購入した物件は「一応住める状態」で、トイレやお風呂は10年前にリニューアルされており、すぐに生活は始められました。それは良かった点です。

でも、母屋の床下は全面シロアリ被害があり、いずれは全面改修が必要です。
庭の松の木はシロアリに食われていて、ご近所さんの助けを借りてチェーンソーで伐採しました。
中庭は雨が降るたびに沼になるため、暗渠排水を自分で作りました。

修繕費用は「終わり」がありません。直せば直すほど、次の問題が顔を出します。

「修繕が終わらない」のには理由がある

古民家は、修繕を始めると連鎖的に作業が広がります。床をめくれば床下が問題、床下を直せば基礎が問題、外壁を直せば屋根が問題—という具合に。

加えて、古民家に対応できる職人さんが少ないのも現実です。一般的なリフォーム業者では対応できないことも多く、腕のいい大工さんを探すのにも時間がかかります。

DIYで自分でやれる部分は限られています。構造に関わる部分(柱・梁・基礎・シロアリ駆除)はプロに頼まないといけない一方、どこからがプロの領域でどこまでDIYで対応できるかの線引きが難しく、それを判断するだけでも勉強が必要です。

それでもこの家を選んで後悔はありません。物件の雰囲気も、土地の魅力も素晴らしいし、とても気に入っています。ご近所さんも田舎暮らしでよく聞く暗い話「村八分」「田舎のしきたり」・・・のようなことは一切ありません。むしろ、こんな田舎にきてくれてありがとう!というウェルカムな雰囲気でとても暮らしやすい。

私が所属する隣保(※)には、大阪や神戸から移住して生きたお家が数件あって、そういったところからも移住者に対して開放的な地域だということが伺えます。

隣保について

隣保(りんぽ)とは、地域の住民同士で助け合うためのコミュニティや組織のことを指します。
主に地方や田舎に多く見られ、自治会や町内会のような役割を持ちながら、より生活に密着した関係性で成り立っているのが特徴です。

都市部ではあまり聞き慣れない言葉ですが、田舎暮らしをするうえでは非常に重要な存在となります。隣保と自治会・町内会は似ていますが、少しニュアンスが異なります。

・自治会・町内会:広いエリアの組織
・隣保:より小さな単位(近隣数世帯〜数十世帯)

つまり、隣保は「より身近なご近所コミュニティ」と考えると分かりやすいでしょう。

現実③ 畑・田んぼがセットでついてきた

「セット販売」の落とし穴

地方の古民家物件、特に築年数の古いものは、畑や田んぼがセットになって売られていることが多いです。広大な土地がついていることを「お得」と感じる方もいますが、これには落とし穴があります。

わたしの場合も、母屋のほかに離れ、蔵、広い庭、中庭が2つ、裏庭、そして畑と田んぼがセットでついてきました。物件情報には「山が近い」「田舎暮らしに最適」「家庭菜園ができる」とありましたが、農地の管理がこれほど大変とは思っていませんでした。ちなみに、農地の売買は農業委員会の許可や地域の農会の許可、区長の許可が必要など・・・かなり面倒な手続き&時間がかかります。(私の地域だけかもしれませんが)

放置するとご近所問題になる

農地は放置すると雑草が生え放題になります。また農業委員会に耕作の誓約書を提出して購入する許可が下りたので、耕作放棄すると罰則の対象となります。

田舎では、農地の管理はご近所との関係にも影響します。隣の田んぼに雑草の種が飛んだり、虫の発生源になったりすることで、関係が悪化することもありますので、注意が必要です。

草刈りは義務。怠ると大変なことになる。

うちは農地だけではなく、沢山の庭があり、広さもそこそこあるので・・・夏の雑草の季節はノイローゼになりそうです。

農業経験ゼロからの苦労

農業の知識がまったくない状態で、畑と向き合うことになりました。何をどう植えればいいか、雑草はどこまで抜けばいいか、季節ごとに何をすればいいか—すべてがゼロからの学習です。

現状、私が購入した農地については管理の比較的楽な果樹を植えて、その他は防草シートで雑草が生えないように対策しています。販売する予定も無い果樹なので、自分の好きな果物の木を植えました。栗、桃、すもも、梅・・・などなど。

「農地付き古民家」を検討している方は、購入前に農地の広さと管理の手間を必ず確認してください。農地の購入を免除してもらったり、農家さんと協力関係を結んだりする選択肢もあります。

現実④ 「広すぎる」という誰も言わない問題

古民家の「広さ」は魅力のひとつとして語られることが多いです。でも、実際に住んでみると、広さは管理の負担でもあることがわかります。

掃除だけで週末が終わる

わたしの古民家は、母屋(田の字型の6畳×4部屋+台所+廊下)、2階建ての離れ(6畳×4部屋)、2階建ての蔵(10畳×2部屋)、離れ小屋(白蟻被害でボロボロ)、そして車庫があります。延床面積は266㎡。ひとりで管理するには、正直かなり広い。

二拠点生活で週末だけ通っている状態では、掃除だけで半日以上かかることもあります。愛犬と散歩して、ご近所さんへのご挨拶をして、買い出しをして…気がついたら日が暮れています。

使わない部屋は傷む一方

使わない部屋は、掃除もされず空気も動かないため、傷みが早くなります。古民家はもともと気密性が低いので、湿気や虫の問題が出やすい。

「大きな家=豊か」ではなく、「自分が管理できる広さ=豊か」だと、住み始めてから実感しました。

現実⑤ それでも古民家を選んでよかった理由

ここまで大変なことばかり書いてきましたが、それでもわたしは古民家を買ったことを後悔していません。

築140年の梁と土間に宿るもの

この家には、立派な柱や梁がしっかりと残っています。どれだけ月日が経っても、その存在感は揺るがない。前の所有者さんたちが大切に住み継いできたことが、家全体から伝わってきます。

縁側に座ってぼーっとする時間、日本庭園の石の配置、土間の質感—こういうものは、新築やコンテナハウスでは絶対に手に入らないものです。

ご近所さんとの繋がりが、生きる力になる

田舎暮らしで一番よかったと感じるのは、ご近所さんとの関係です。
チェーンソーを持ってきて松の木の伐採を手伝ってくれたパパさんとママさん。
抜きたての大根をくれるおじさん。
手作りのカレーパンをくれるおばあちゃん。
畑仕事をしていると必ず話しかけてくれる農業名人のおじいちゃん・・・などなど。

黙々と動く背中を見ながら、ひとりで生きてるわけじゃないんだなぁと。
人のありがたみが、静かに沁みた一日でした。

土壁とわたし Youtube動画より

こういう繋がりは、都会ではなかなか得られません。

DIYで「自分の家」を育てていく面白さ

正直、DIYは大変です。腕が筋肉痛になるし、思ったように進まないし、失敗もします。でも、自分の手で家が少しずつ変わっていくのを見ることの喜びは、他に替えられません。

「大変さを理解した上で選べる人には、古民家は最高の選択肢」だと思います。逆に言えば、「楽に田舎暮らしをしたい」という方には、別の選択肢も検討してほしいです。

もっとスローに田舎移住を始める方法もある

古民家は「覚悟が必要な選択肢」です。でも、田舎暮らし自体は、もっとハードルを下げて始めることができます。

わたしが今の古民家生活を経験して、「もしゼロから田舎移住を考えるなら」と思うとき、真剣に検討したい選択肢があります。

それが、「土地を購入してコンテナハウス・タイニーハウス・トレーラーハウス・プレハブ住宅など、低コストで実現できる住まいを建てる」という方法です。

古民家のように、シロアリリスク・広すぎる管理・農地の負担・業者探しの苦労——そういった複雑さを取り除いて、自分が必要な広さの家を、自分の田舎に建てる。初期費用も古民家の大規模改修に比べてコントロールしやすく、スローな田舎暮らしの入口としては理にかなっています。

最近このコンテナハウス・タイニーハウス・トレーラーハウス・プレハブ住宅など、低コストで実現できる住まいを知る機会があり、古民家を購入する前に知ることが出来ていたら、修繕DIYではない、もっとゆったりとした田舎暮らしができたかもしれません。

「今の物件を購入して後悔はない」とは言うものの、選択肢は欲しかったなと今は思います。

まとめ:古民家購入前に知っておきたい7つのこと

  •  シロアリ・腐食は内覧ではわからない。インスペクション必須
  •  修繕費用は予算を大幅にオーバーする可能性が高い
  •  農地付き物件は管理の手間も「ついてくる」
  •  広すぎる家は管理が追いつかない
  •  古民家対応の業者・職人探しは時間がかかる
  •  それでも、ご近所との繋がりや古民家の魅力は本物
  •  スローに始めたいなら「土地+コンテナハウス・タイニーハウス・トレーラーハウス・プレハブ住宅」という別の選択肢もある

田舎移住に正解はありません。
も、「知った上で選ぶ」ことが、後悔のない移住への第一歩だと思います。

わたしの経験が、誰かの参考になれば嬉しいです。